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筋肉が霜降り肉になる前に。サルコペニアに気をつけて

The New York Times

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Gracia Lam/The New York Times

自分では体を鍛えていたと思っていたんだけれど

「使わないと失ってしまう」という表現を聞いたことがあると思います。みなさんそれを実行しているでしょうか。わたし自身は実行していると思っていました。ウォーキング、サイクリング、水泳を交互に取り入れて、ふだんは1日に2回運動しています。腰のためのフロアエクササイズは毎日欠かさず、階段も使っていますし、家まわりでもいろいろ体を動かしていますから。

YMCAの若い友人からは元気だと言われますし、アメリカのほかの77歳の女性と比べれば体を鍛えていると思います。でも、この数年は前より力が弱くなったと感じるようになってきました。以前ならさっと持ち上げられたような重さでも苦労するようになってきて、ときには持ち上げられないこともあるんです。

サルコペニアに注意しなくちゃ

ニューヨーク大学の教授である、理学療法士のマリリン・モファットさんからの鋭い警告のおかげで、いまではその理由がわかっています。50歳以上の多くの人たちと同じように、わたしにはサルコペニアという症状があるんです。サルコペニアというのは、加齢に伴う骨格筋の衰えで、40歳ごろから始まることもあります。介入治療しなければどんどん悪化して、70歳になるまでには筋肉量が半分にまで減りかねません(減った分は脂肪や繊維組織にとって変わられるのです。筋肉が霜降りのステーキ肉みたいになると思ってください)。

「Family Practice」誌に、「骨が骨粗しょう症になるように、筋肉はサルコペニアになると思っていいでしょう」と書いているのは、セントルイス大学医学部の老人病専門医、ジョン・E・モーレー医師です。60代の13パーセントが、80代では半数もの人がサルペコニアになると述べています。

ジョンズ・ホプキンズ大学医学部の老人病専門医であるジェレミー・D・ウォルストン医師の言葉を借りると「サルコペニアは、高齢者の機能が衰えて自活ができなくなる最も重要な原因のひとつ」なのだそうです。

サルコペニアは体全体に影響するから

それなのに、サルコペニアについて高齢の患者にきちんと説明して、進行を遅らせたり改善する方法を指導してくれる医者はあまりいません。対処しなければ症状は悪化する一方で、心身の健康をおびやかし、日常生活をおくる能力にも大きく影響します。また、サルコペニアはいくつもの慢性病とも関連があり、インスリン抵抗性や疲労や転倒を悪化させ、死に至ることにもなります。

身体的活動の衰えは高齢者には共通していますが、それはサルコペニアが発症するひとつの理由にすぎません。ほかの原因としては、ホルモンの変化、慢性病、体全体の炎症、栄養状態が悪いことなどが挙げられます。

高齢者でも運動で筋肉量を増やすことができる

しかし。これはとても重要な「しかし」です。年齢や健康状態にかかわらず、失った力をかなり取り戻すのは可能なのです。モファットさんによると、老人ホームにいる90代の人たちも含めて、サルコペニアで失った筋力を回復させられるかを調べた研究があるそうです。30年にもわたり医療関係の文献には書かれてきたのですが、実行する時はずっと後回しになっていました。

1988年、タフツ大学のDepartment of Agriculture Human Nutrition Research Center on Agingのウォルター・R・フロンテラ氏と共同研究者は、あまり活動的ではなかった60歳から72歳までの12人の男性が、週に3回の筋力トレーニングを12週間行なったことにより脚力と筋肉量がかなり増やせたことを報告しています。

その2年後、「JAMA(ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション)」誌には、マリア・A・フィアタローネ医師と前述のタフツ大学リサーチセンターの同僚が、8週間の「高強度の筋力トレーニング」によって、老人ホームにいる90歳以上の脆弱な9名の身体力をかなり上げることに成功したと報告しました。平均で筋力は174パーセント増加、腿の中央部の筋肉量は9パーセント増えて、歩く速さは48パーセント向上したそうです。

となると、もう実行するしかありません。今の生活であまり活動していない人や深刻な慢性病のある人はまず医師に相談してください。医師の許可をもらったら、(ダンベルなどの)フリーウエイトやレジスタンスバンド、加圧トレーニングマシンを使って筋力トレーニングを始めます。最初に理学療法士か認定トレーナーに何度かレッスンしてもらってから始めるといいでしょう。

自問しながら筋肉トレーニングを始めましょう

正しいテクニックを使うことが、体を痛めずに望む結果を得るためには不可欠です。自分に合った負荷レベルから始めることもとても大事です。フリーウエイト、エクササイズマシン、バンドやチューブなど、どんなツールを使うにも、モファットさんが教えてくれた次のガイドラインが役立ちます。

動きは最大限にして、正しいフォームで2回繰り返すことから始めます。ウエイトをゆっくりと持ち上げ、ゆっくりと下ろします。そして、手を休めて、どのぐらい運動できているかを考えてみます。『かなり楽』か『まあまあきつい』か『きつい』かどうか。もし『かなり楽』なら重さをすこし増やして2回繰り返し、また同じ質問をしてみます。『きつい』場合には、ウエイトを少し軽くして2回エクササイズをして、自問してみてください」

心から『まあまあきつい』と思えるなら、それが適正な重さであり、マシンの設定になります。それが、安全かつ効果的にトレーニングして筋肉が鍛えられるレベルです。それでエクササイズを続けて、8〜12回繰り返したら疲れてくると思います」

もちろんエクササイズするにつれその重さに慣れてきますから、重さを増やしたり回数を増やしたりして、疲れるまで繰り返します。筋力トレーニングによって筋力が向上するだけではなく、骨密度を増やすこともできます。

定期的にランニングやウォーキングをしたり、テニスやサイクリングをすることは、じわじわ進む筋肉量と筋力の衰えを防ぐには十分ではありません。通常の活動では十分な負荷がかかっていない筋肉はもちろん、使っている筋肉の衰えも防げないのです。骨格筋すべてを鍛えると、転倒しても救急病院や老人ホームのお世話にならなくてすむでしょう。

良質のタンパク質をとるのも忘れずに

モーレー医師は、適切な栄養摂取、とくに健康な筋肉の主な成分であるタンパク質の摂取が、筋肉量を増やして維持するために必要だと語っています。

タンパク質の必要摂取量は理想体重に基づいているので、痩せすぎや太り過ぎの人はその分を加減計算して、毎日どのぐらいタンパク質を摂取すればよいかを決めます。モーレー医師は、高齢者はタンパク質を吸収する効率が悪くなるので、筋肉量を増やすには理想体重1ポンドあたり最低でも0.54グラム(体重1キロにつき約1.2グラム)のタンパク質を摂るべきだと述べています。これはふつう高齢者が摂取しているタンパク質量よりもずっと少ない量です。

座っていることが多い体重150ポンド(約68キロ)の高齢者なら、1日81グラム(0.54x150)のタンパク質摂取が必要になります。主な食品のタンパク質含有量を見てみましょう。ピーナツバター大さじ2が8グラム、ノンファットミルク1カップ(250ml)が8.8グラム、中サイズの卵2つが11.4グラム。チキンのドラムスティック1本が12.2グラム、コテージチーズ半カップが15グラム。カレイ3オンス(約85グラム)では25.5グラム。また、3オンス(約85グラム)のターキーか魚なら26.8グラムのタンパク質が含まれています。

「タンパク質は、筋肉量を増やすエクササイズをすると相乗効果があります」とモーレー医師は述べています。アミノ酸のロイシンが豊富なタンパク質食品であるミルク、チーズ、ビーフ、ツナ、チキン、ピーナツ、大豆、卵などがもっとも効果があるそうです。

サルコペニアかどうかをチェックしましょう

モーレー医師とセオドア・K・マルムストロム氏は、医師が患者に重度の筋肉ロスがあるかどうかをチェックするために誰でも使える簡単な質問表を作りました。10ポンド(約4.5キロ)のものを持ち上げて運ぶ、部屋の一方からもう一方まで歩く、椅子やベッドから移動する、10段の階段を上がるなどの動作がどのぐらい困難かをチェックします。また、過去1年の間に転倒した回数も聞かれます。これらの活動が困難でかつ転倒回数も多ければ、サルコペニアを患っている可能性が高くなります。

※ジェーン・ブローディは、1976年より「ニューヨーク・タイムズ」紙のパーソナルヘルスコラムニストを務めている。ベストセラーの『Jane Brody’s Nutrition Book』『Jane Brody’s Good Food Book』をはじめ、10冊以上の著書がある。

©2018 The New York Times[Preventing Muscle Loss Among the Elderly/執筆:Jane E. Brody](翻訳:ぬえよしこ)

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