まわりのアラフォー女性たちに、とんと「出会い」がない。このところ、女友だちから浮いた話を聞くことがほとんどなくなった。

「出会いはないの?」と尋ねても「会社と自宅の往復の生活だし、たとえ仕事以外で出会ったとしても、ほぼ100パーセントの確率で既婚者だし」という答えが返ってくる。

年齢的に考えても、出会う相手が結婚している率はどうしたって高くなる。独身を探すほうが難しいし、独身がいたとしてもその人が「タイプだ」と思えることなんて奇跡に近い。もし独身でタイプだと思える人がいたとしたら「なぜこんなステキな人がいまだ独身なのだろう。もしかして遊び人? それともとんでもない性癖があったり、DV男とか?」とあらぬ想像を悶々として、先の展開に踏み込むことをためらってしまう。

「ものすごく年下からアプローチされたことがあるんだけど、本気で『狙いはなに? わたしの貯金?』とか『詐欺商法かもしれない』と思っちゃって、あのときは思いきり引いたな」とはある女友だち。

もしかしたら年下くんは本気で愛を伝えたかったのかもしれないのに、アラフォーはとにかく用心深い。橋を叩きながら渡るのだが、叩きすぎて渡る前に壊してしまうことだって、よくある。

「結婚なんて、もうどうだっていいわ。ひとりで生きていく準備をそろそろしているから」という女友だちが増えてきているのだが、そんなひとりだった、わたしより少し先輩の独身女性が、先日電撃結婚をした。

起業家だった彼女、それはもう男勝りでバリバリと働いていた。長年つきあっていた彼がいて、彼女はその人と結婚するつもりでいた。ところが彼は結婚についてはあまり前向きではなく、業を煮やした彼女のほうから見切りをつけたのだ。
「もう結婚はどうでもいいかな。というよりも、男の人に振り回されるのがいや。自分の人生を好きなように生きたい。だから仕事をがんばる」
彼と別れた直後、彼女はそう言っていた。

その後、彼女に浮いた話はなく、本当に仕事ひと筋で生きてるんだなあなんて思っていた。ところが突然「彼女が結婚するって!」というニュースが飛び込んできたのだ。

最初の周囲の感想は「誰と?」だった。だって彼女にはそんな異性の影がチラリともしなかったから。彼女に突撃インタビューをしたところ、「出会って3ヶ月ないくらいで決めた結婚なのよ。だからみんなに紹介する暇もなかったわ」と笑った。

いきさつを聞いてみたところ、
「ある日、仕事から戻って部屋でビール飲んでいたとき、知人から『紹介したい人がいるから、いますぐ出てきなさい』と電話がかかってきたのね。夜の11時を過ぎていて、わたしなんてお風呂に入ってもう寝るだけの態勢でいたのよ。その日は仕事で疲れていてクタクタで、とにかく早く寝たかった。そんなときにメイクして出かけるなんて面倒くさいでしょ。『今夜は無理です、すみません』と丁重にお断りしたんだけど......」

電話の相手はどうしても引き下がらなかったという。「とにかく、あなたに紹介したい人がいまここにいる。キミは絶対にこの人と会わなくてはいけない。この人はものすごく多忙でなかなか紹介する機会がないから、いますぐ急いで来なさい」の一点張りだったという。

「根負けして行ったのよ。会わせたい人がいるっていったいどういう意味なのかもわからなかったわ。仕事的に引き合わせたいのか、それともお見合い的なものなのか......。向かうタクシーのなかで『まったく......』とぶつくさ呟いてた(笑)」

そこで出会ったのが、いまの彼女の夫だ。彼女よりもひと回り年上で、大企業の、なんと会長! 前妻とは死別で独身。できれば人生後半を楽しく寄り添っていける伴侶を探しているという人だった。

「お酒とおいしいものが好きらしく、食べ歩きを一緒に楽しめる大人の女性が理想とのことで、わたしに白羽の矢が立ったのよね」

彼女はお酒と食べ物への造詣が深いことは有名で、加えて超がつくほどの美人なのだ。会長はきっとひと目惚れだっただろう。

「実はわたしも会った瞬間に『あっ! とうとう出会ってしまった』と思ったの。見た目は年上のおじさまという感じだったけど、見た目とかではなく、お互いにビビッと感じ取るものがあったのは確か。まだ彼が何者かもまったく知らされていないのによ。こんなことって本当にあるんだなってびっくりしちゃった」。

その後、交際が始まり、トントン拍子で結婚の話が進み、出会って3ヶ月経たないうちにめでたく夫婦となった。

「もし、あの夜、面倒くさい気分がまさって出かけなかったら、いまだにわたしは独身だったはずよ」と彼女は笑った。

人生にはいろんな分かれ道が用意されていて、どの道を進むかでまったく違う未来が待ち受けているのだ。アラフォーが陥りがちな「面倒くさい病」、これを克服すると、もしかしたら違う未来への扉を開くことができるのかもしれないね。

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